2020.04.28

2020年 マンション価格は横ばいか 8つの要素を分析

国土交通省発表の東京都の不動産価格指数(区分所有=マンション)から、

2007年4月以降の中古マンションの価格の推移をみると、

13年以降の価格上昇トレンドが18年以降は横ばい傾向となっています。

このようなトレンドは20年も継続するのでしょうか? 

それとも大きな変化が生じるのでしょうか?

不動産は様々な経済動向によって影響を受けながら価格を形成していくことが知られています。

特に、以下に列挙する要素によって影響を受けるといわれています。

(1)直前の価格変化率(不動産価格は直近の価格変化率に左右される)

(2)直前のマンション年収倍率(価格に対する年収倍率)が上(下)がると、価格は下(上)がる)

(3)住宅ローン金利(金利が上(下)がれば、価格は下(上)がる)

(4)住宅ローン残高変化率(貸出残高が増え(減)れば、価格は上(下)がる)

(5)可処分所得の変化率(可処分所得が増え(減)れば価格は上(下)がる)

(6)株価の変化率(株価が上(下)がれば、価格は上(下)がる)

(7)人口増減率(人口が増え(減)れば、価格は上(下)がる)
(8)成約件数1件あたり在庫戸数(在庫が増え(減)れば、価格は下(上)がる)
07年第4四半期から18年第4四半期までの期間について重回帰分析をしてみると、

前述の8つの要素のうち

(1)直前の価格変化率

2)直前のマンション年収倍率

(3)住宅ローン金利(今回はフラット35(借入期間21年以上のうち最低値)を採用)

(8)成約件数1件あたり在庫戸数――の4つが統計的に有意、

つまり中古マンション価格の変化率に影響を及ぼしている結果となりました。

不動産価格は、過去の取引価格から大きな影響を受けます。

同じマンションがいくらで売れたという実績があれば、

その金額に近い価格で取引されることがほとんどです。

価格が上昇している傾向が取引事例から見て取れれば、

その上昇率も取引価格に反映されることがしばしばあります。

年収倍率が高くなればマンションは買いにくくなりますので、価格は下がる傾向を示します。

元本と利息の総支払額が金利低下時のそれと同額であれば、

金利が低いほうが借り入れ元本は大きくなるため、取引価格も上昇します。

また、マンション成約1件あたりの在庫戸数が増加傾向にある場合は、

需要よりも供給が増加していることになるので、価格は下がる傾向を強めます。
ほかの要素については、この期間では統計的に有意差が見られず、

価格に影響を必ずしも及ぼしていない結果になりました。

例えば、株価は東京の中古マンション価格に影響しているといわれていましたが、

ここ数年の株価推移とマンション価格推移に乖離(かいり)が出てきたことで、

マンション価格への影響度合いが薄れたようです。

住宅ローン残高や可処分所得の変化率、

人口増減率もマンション価格の変化率に影響を与えるほどの動きにはなっていなかったようです。
フラット35の金利ですが、現在は1%強の水準となっており、これがさらに低下することは考えにくいでしょう。

今年は国際的な経済動乱がない限り、金利は低水準のまま維持されるのがメインシナリオだと思いますので、

金利変動がマンション価格に変動をもたらすことはなさそうです。

次に年収倍率です。

マンション価格の変動率は低下しつつありますが、

可処分所得が急激に減少することがなければ、

年収倍率はおおむね7倍前後で推移するのではないでしょうか。

成約件数1件あたり在庫戸数は、低金利が続く限りは一定の需要が維持されると思われますので、

在庫は微増することが予想されるものの、成約件数1件あたり20戸を超えることは今年についてはないでしょう。

以上から、今年のマンション価格はおおむね横ばいになるのではないでしょうか。

あとは、リーマン・ショックのような大きなインパクトのある経済事象が発生しないことを祈るのみです。

ミライズエージェント株式会社 ピーズセントラル不動産販売稲毛店 

企画販売部 田村 進

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